第56回 クロモジ
- TAMTAM
- 6月3日
- 読了時間: 4分

今回はクスノキ科の「クロモジ」についてお話しします。
「クロモジ」と聞くと「爪楊枝」を思い浮かべる方が多いかと思います。
漢字で書くと「黒文字」。和菓子などを食べる高級爪楊枝のことを「黒文字」といい、クスノキ科の「クロモジ」の枝を削って作られることから「黒文字」の名がつきました。
➊水前寺公園(水前寺成趣園)の抹茶セット、黒文字の爪楊枝付き

➋抹茶セットの黒文字の楊枝

クロモジは、落葉低木、葉枝および根に芳香があり、葉は枝の上部に互生し、4月に淡黄緑色の花を新葉と共に春に咲かせます。雌雄異株です。
クロモジの仲間には、オオバクロモジ、ケクロモジ、ミヤマクロモジ等があり、各々特徴がありますが、どれも早春に淡い黄緑色の花を咲かせ、秋には黄色い葉が楽しめる落葉樹です。
➌オオバクロモジの花(雄花)

➍ケクロモジの黒い枝

❺葉が黄色く色づいたケクロモジ

➏ケクロモジの葉と新芽 この後葉は色づき落葉します。

➐ケクロモジの花 葉に毛が見えます。

<薬効>
味:辛、性質:温、薬用部位:枝葉・根皮、生薬名:釣樟(チョウショウ)
民間薬で、急性胃腸炎、去痰、粉末を止血に。
枝葉は、皮膚病には浴湯料として使用する。
根皮(釣樟根皮)は、いんきん、タムシなどの寄生性皮膚疾患に煎液で患部を洗うなどして用います。
<用途・利用>
クスノキ科の植物は香りの成分(精油成分)を含んでおり、いい香りがします。
クロモジには、リナロール、ゲラニオール、シネオールなどの精油成分が含まれ、葉茎はリラックス効果を目的にアロマセラピーや入浴剤に利用され、抗菌や鎮静効果などにも用います。
全体に芳香があり、枝葉を水蒸気蒸留し得たクロモジ油は、石鹸の香料や香水などに用いられ、また、殺菌作用があり、良い香りがするので昔から「黒文字(高級爪楊枝)」として重宝されてきました。
長崎のある会社では「黒文字酢」を造酢、高知県では「黒文字茶」に力を入れているそうです。そういえば「養命酒」には精神の高ぶりを鎮め、睡眠を促し、鎮咳去痰、気管支の充血を除くなどの目的で配合されているようです。
➑クロモジ玄米酢

さて、6月は梅雨の時期。気圧の変化や湿度の上昇によって、体調を崩す人が増える季節です。特に、自律神経のバランスが乱れやすく、だるさや頭痛、胃腸の不調などを感じることがよくあるのではないでしょうか。
この時期の不調を改善する食の摂り方について少し触れておきます。
野菜や果物には、下記のような様々な機能性成分が含まれています。
●水溶性成分:ミネラル類、ビタミンC、B群、カロテノイド類、サポニン類、配当体類、アントシアン類、水溶性植物繊維など。
●脂溶性成分:ビタミンA、D、Eなど、精油、糖の結合していないフラボノイド、タンニンなどのポリフェノール類など。
●不溶性植物繊維などがあります。
料理の時には野菜を煮たりしますね。その際、煮汁を廃棄して、固形物だけを食べると、野菜に含まれる様々な機能性を摂取できません。
野菜の機能性成分をできるだけ多く摂取するためにはスープにして食べるのが一番良いと思います。また、ミキサーでペースト状にすれば、いろいろな料理に応用できます。身近にある野菜でいいですよ。できればカラフルに、緑、赤、黄色、黒、白5色の野菜を取り入れられるとなおいいです。
胃腸にやさしく、便秘改善、免疫力アップなどに効果がある野菜スープになりますよ。
また梅雨時、湿度が上がると偏頭痛を起こす人がいますね。体内の水が偏るせいです。そんな時は漢方薬の「五苓散」を用いて体内の余分な水分を排出させてください。「五苓散」は、体内の水のバランスを普通に保つ漢方薬です。空気中の水の変化による頭痛、他に、乗り物酔い、めまい、下痢、嘔吐、鼻水、喉の渇き(二日酔いによる)などに効果があります。
これらの症状が出た時、頓服で一包飲んで改善してください。乳児から高齢者まで利用できる薬です。
ただ、五苓散を毎日、予防としては絶対に飲まないでください。漢方の分かる薬剤師に相談してご利用ください。
暴飲暴食を避け、バランスのいい食事をし、運動習慣を身につけ、適度な水分補給をし、汗をかきやすい体質になりましょう。また、十分で質のいい睡眠をとり、梅雨を元気に快適にお過ごしください。
次回は、7月1日(火)投稿の予定です。どうぞよろしくお願いします。
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