第61回 ナツメ
- TAMTAM
- 2025年11月11日
- 読了時間: 4分

11月に入り急に寒くなってきましたね。
冷たい空気「 風邪(ふうじゃ)、寒邪(かんじゃ)」で背中を冷やし、風邪(カゼ)を引いたりしていませんか?
今回はこの時期にぴったりの果実、体を温める性質を持つ「ナツメ(棗)」を紹介します。
ナツメは中国原産のクロウメモドキ科の棘(とげ)の多い樹木で、赤褐色の果実をつけます。長い棘が多く、棘の漢字を縦に重ねた漢字を「棗(そう、なつめ)」と読みます。
ナツメの花は、2〜3mmのうす緑の目立たない花ですが、いつの間にか花が終りびっしりと実を付けています。果実は、夏の暑さのエネルギ-を一杯もらい大きくなり、9月には少し赤褐色を帯びてきます。ナツメの果実は、赤褐色~茶色になったくらいが生食するには良く、甘さは格別です。好みにもよりますが・・・。
❶ナツメの果実(2019年10月6日撮影)

そういえば、茶道で抹茶を入れる容器を「棗(なつめ)」といいます。丸みを帯びた優美なナツメの果実の形に似ているので、名付けられたと言われています。
❷ナツメの果実のアップ

<甘みを消すナツメの葉>
ナツメの葉を良く噛んで舌の上で転がすと、砂糖などの甘みを感じなくなります。これは葉に含まれる水溶性の成分が、舌にある甘味センサーをブロックするためです。ナツメの仲間「サネブトナツメ(酸棗)」の葉にも同じような作用があります。
❸サネブトナツメの花 2022年8月2日撮影

➍サネブトナツメの果実と種子 2025年9月11日

ナツメは糖分が多いので疲労回復に効果があり、胃腸の働きも助けます。
ナツメの甘さの成分はフルクト-ス(果糖)で、ナツメの実を焼酎につけると、なんと、抗アレルギ-活性が現れます。元々ナツメの果実には無い化合物が、アルコ-ルとフルクト-スの反応で、エチルフルクト-スができ、これが抗アレルギ-活性を示します。
ナツメの果実を乾燥した物を「大棗(たいそう)」といいます。
「大棗」中に含まれるサポニンの「ジジフスサポニン(Ziziphus Saponin)」は交感神経節等の神経成長因子(NGF)による神経線維の修復、成長を促進するとの報告があります。薬用人参に「大棗」を加えた焼酎漬けは、滋養強壮作用があり、血圧を上げないと言う方もいます。
「大棗(たいそう)」は、精神不安、緊張緩和、不眠解消、食欲不振の改善などを目的に漢方薬に配合されており、厚生省が認定した一般漢方処方210処方中67処方に使われています。
例えば、葛根湯(かっこんとう:葛根、麻黄、大棗、桂皮、芍薬、甘草、生姜など)は、風邪の引き始めなどに用いられます。
また、小建中湯(しょうけんちゅうとう:芍薬、桂皮、大棗、甘草、生姜、膠飴)は、虚弱体質で疲労しやすい、血色がすぐれない、腹痛、動悸、手足のほてり、冷え、頻尿、多尿などに効き目があります。心当たりがある方はお試しください。
インフルエンザが流行しています。罹ったかなと感じたら、酷くならないうちに漢方薬「麻黄湯(まおうとう)」を1包、すぐ飲むといいですね。「麻黄湯」が「タミフル」と同等の効果があるとのデータも報告されています。(2005年日本東洋医学会学術総会にて発表)また、 コロナかなと感じた時も「麻黄湯」を頓服で、すぐに服用してください。
漢方薬の原典「傷寒論」では、1日(24時間)を「日(昼)」と「夜」に分けて考えています。「日(昼)」は12時間、その半分の6時間を「半日」とよび、この6時間のあいだに薬を服用すると記されています。
漢方の風邪薬(葛根湯、麻黄湯 等)は、おかしいなと感じたら頓服で1包、さらに2時間おきに1包ずつ、6時間で3回(1日分)飲めば、速やかな効果が期待できます。
しかし、通常は「1日(24時間)3回、食前に服用」と言われます。ただ1日3回(4〜6時間おき)食後1包の服用では、あまり確かな効果を期待できません。つまりこれが「漢方の風邪薬は効かない」と言われる所以でしょう。
風邪かなと感じたら、漢方の風邪薬を頓服で『すぐ』に飲み、体を温め養生してください。そうすれば1包でも効果があります。それで治らなければ、その後2時間おきに2回、計3回飲むことで症状が早く改善されるでしょう。
ただ、長く飲み続けるものではありません。症状が改善されない場合は、別の薬に切り替えたほうがいいでしょう。漢方薬をよく理解している薬剤師にご相談ください。
なお、ほとんど寝たきりで体力が無い人が、発汗力の強い「麻黄湯」を用いると汗が止まらなくなり、脱水・体力消耗等を起こすことがありますので、十分ご注意ください。
早め早めの対応で、寒い冬を元気に楽しくお過ごしください。
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