真夏日が続きそうな今夏。食欲不振防止に、消化液の分泌を助けて食欲を増進する機能性野菜の「タマネギ」を今回は取り上げてみました。
タマネギは、中央アジア〜地中海が原産とされ、古代エジプトやメソポタミア文明で栽培が始まったと言われています。肉料理に合うことからヨーロッパ各地に広がり、日本では明治時代に入ってから栽培されるようになったそうです。
タマネギ(玉葱)は、現在はヒガンバナ科に分類される多年草です。ただ収穫の関係で、園芸上は、一年草もしくは二年草として扱われています。
昔は「ユリ科」の植物で、食べて問題無いと感じる「科名」でしたが、今は「ヒガンバナ科」。ヒガンバナと言えば毒草で、この科に変わると「食べて良いのかな?」と心配される方もいるのではと思いますが、科名が変わっても、タマネギは食べても問題ありません。
一般的に「タマネギ」と呼んで、私たちが食べている部分は根ではなく、タマネギの葉の根元が膨らんだ部分「鱗茎」です。ニンニクやラッキョウも鱗茎部分を食べる野菜です。
タマネギ等はSDGsな植物で、鱗茎だけでなく、葉も根も全部食べられます。
「地上部の葉」はネギの代わりに、「鱗茎の茶色の皮」はお茶などに、「細い根」はかき揚げなどにされ食用になります。家庭菜園で栽培されたらお試しください。
左:水俣の友人からもらった新タマネギ 右:左のタマネギの断面
左:タマネギの種子を2022年10月13日に蒔き、10月21日に発芽
右:タマネギの苗を11月28日に植え付け
※昨年11/28に植え付けた苗は、1ヶ月以上も植え付けが遅かったので、6月に収穫した鱗茎は大きい玉になりませんでした。8月末にこの小さな鱗茎を植え付け、大きくなったら12月に収穫する予定。ただ、大きくならない時は、来年の5月まで収穫は待つつもりです。
<タマネギの栄養>
タマネギには、食物繊維、カリウム等のミネラル、硫化アリル類のアリシン等や、フラボノイド類のケルセチンなど、甘い糖類などの栄養成分が含まれます。
特に、タマネギを特徴づける成分「硫化アリル類」は、消化液の分泌を促し食欲を増進させ、新陳代謝の亢進、神経を落ち着かせビタミンB1の吸収を助けるなど、多くの優れた機能があります。ただ「硫化アリル類」は、水に溶けやすく、熱に弱いので、加熱を軽くしたり、新タマネギを生のままで利用したりすると良いですよ。
「硫化アリル類」は、ネギ類、ニラ、ニンニク等にも多く含まれています。
<タマネギの「硫化アリル類」以外の機能性成分>
さらに、タマネギには、フラボノイドのケルセチン(Quercetin)とその配糖体が含まれています。特に茶色い薄皮には多いです。ケルセチンは、毛細血管を丈夫にし、善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減少させ、血液をサラサラにして動脈硬化を予防する等の報告があります。
<タマネギの薬用>
薬用としては、「鱗茎」を乾燥したものを胡葱(こそう)といい、強壮、発汗、利尿、消化促進、風邪の予防、解熱などの作用があると言われています。
<タマネギの甘味>
タマネギには、揮発性の辛味成分アリシンなどの硫化アリル類と、糖分(果糖、ブドウ糖、ショ糖)がたくさん含まれていますが、生ではアリシンの辛味が強いので、甘みをあまり感じません。ただ、加熱するとアリシン等の辛味成分、硫化アリル類が揮発し、糖分は残ります。特に、細胞を壊しながら加熱すると甘みを強く感じます。水を加えずにフライパン等でよく混ぜながら加熱してみてください。甘みが強くなりますよ。
生のタマネギの搾り汁を糖度計で測定するとBrix:9ぐらいとのこと。これをフライパンで飴状にするとBrix:16ぐらいに。更に、凍らせて加熱するとBrix:24ぐらいになります。また、タマネギ(1個/250g位)をみじん切りにし、炒める前に、重曹小さじ1/2を入れて炒めるとBrixが:30を超す値になると報告があります。
※Brix(ブリックス):液中に溶けているショ糖の濃度を示しています。数字が大きい方が、甘いグルコース(ブドウ糖)等が多く含まれています。
Brix 1 は、1gのショ糖が100mlの水に溶けている状態(1%)です。
<タマネギの辛味成分と涙目の予防>
タマネギの生は辛いですね。また、タマネギを刻むと涙が出ますが、それは辛味成分アリシンなどの硫化アリル類が揮発して目にしみるからです。
以下に「目にシミない前処理や方法」をご紹介します。
① 切る1~2時間前に冷蔵庫に入れて冷やし、揮発性分の揮発を抑える
② 切る前に電子レンジで30秒~1分程度加熱する
③ 包丁を水にぬらしてから切る
④ よく切れる包丁を使って切る
⑤ 玉ねぎの繊維に沿って、なるべく大きめに切る
⑥ ゴーグルやメガネ、マスクをする 等
以下のホームページを参考にしました。
※辛味の少ない新玉ねぎを利用するのも良い方法ですよ!!
この夏、食欲の落ちた時は、タマネギをイチョウ切りにして甘酢に漬けてみてください。「甘酢に漬けたタマネギ」は、辛味が減って食べやすく、食欲不振時にいいですよ。
生でも火を通しても手軽に美味しく食べられるタマネギ!うまく料理して食欲増進に!!
でも、良いからと言って、偏った食べ過ぎには気をつけましょう!!
胃腸を弱らせ「夏バテ」をしないよう。たまにはサラサラのいい汗をたくさんかいて、元気で猛暑を乗り越え、楽しくお過ごしください。
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