第63回 チョウジ
- TAMTAM
- 2 日前
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本年最初に紹介するのは、寒い時期に身体を温め、お正月の屠蘇散にも用いられる、熱帯の植物「チョウジ」です。チョウジの原産地は、香辛料の島として知られるインドネシア東部のモルッカ諸島といわれています。
チョウジはフトモモ科に属する高さ約5mの常緑樹で、蕾を薬用および食用に利用します。
生薬名は「丁字(ちょうじ)」「丁香(ちょうこう)」、食品名は「クローブ(Clove)」といいます。
食品としてのクローブは、肉料理などに用いられ、香り付けや臭み消し、抗菌を目的として使われます。
❶チョウジの蕾と花
撮影場所は、星薬科大学・薬用植物園の温室です。

❷生薬の丁子(2025年12月19日撮影)
長さ約2cm。

生薬としての性味は、味が辛、性質は温。温中降逆、温腎補陽の作用があり、健胃や鎮嘔を目的に用いられます。漢方処方では、女性の瘀血に用いる「女神散(にょしんさん)」や、打撲や傷みに用いる「治打撲一方(ちだぼくいっぽう)」などに配合されています。
丁字の主成分はオイゲノールで、水蒸気蒸留して得られる丁字油は、甘い香りをもち、鎮痛、抗菌、抗ウイルス、抗炎症、防虫、リラックスなどの作用があります。歯科では、局所麻酔や消毒などに用いられます。独特の香りがあるため、歯科で使用されているとすぐに分かります。
また、古代エジプトでは、ミイラの防腐に丁字が用いられており、重要な植物でした。
毎年、年末になると丁子も配合した屠蘇散を作ります。
1包(2g):
桂皮0.8g、花椒0.2g、陳皮0.2g、桔梗0.2g、浜防風0.2g、蒼朮0.2g、丁子0.2g
丁子を加えることで屠蘇散の香りが引き締まり、全体が整います。また、屠蘇散を作っていると、上半身だけがぽかぽかと温まってくるのを感じます。
このように、寒い季節には体を温める工夫が大切ですね。身近で体を温めてくれる野菜のひとつに、今が旬の「ショウガ(生姜)」があります。ショウガは、薬用として以下の3種のように使い分けられています。
①ひね生姜:生の生姜は発汗作用が強く、風邪の初期にお粥に混ぜて食べると、発汗を促して寒さを取り除きます。
②生姜(しょうきょう):日本では、生の生姜ではなく、乾燥した生姜を用います。発汗作用があり、体の芯を温める働きもあります。葛根湯、麻黄湯、桂枝湯など、風邪の初期に用いられる漢方処方に配合されています。
③乾姜(かんきょう):ショウガを加熱して乾燥させたもので、身体の中心を温める作用がより強くなります。身体の中心の冷えによって起こる病態を改善するため、腹部を温める大建中湯や人参湯などに配合されています。
下肢の冷えを訴える方が多いようです。四肢(手足)の冷えが強い場合には、漢方薬の「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくか ごしゅゆ しょうきょう とう)」がよく用いられます。「当帰四逆湯」は下肢を温め、「呉茱萸生姜湯」は中(腹部)から上(頭部)を温める処方です。この二つを合わせた合方が「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」で、四肢の冷えの改善を目的としています。
私自身も歳を重ね、最近は足先の冷えを感じるようになり、「八味地黄丸(はちみじおうがん)」を服用してみました。
「八味地黄丸」は、腎陽虚に用いられる「六味丸」に、身体を温める作用のある桂皮と附子を加えた漢方薬です。冷えが「表」や「中(腹部)」に強い場合にはショウガ系の漢方薬が適しています。一方、加齢によりエネルギーが不足し、疲労感を伴って冷えが「下半身」に現れる場合には「八味地黄丸」を、また四肢の冷えが特に強い場合には「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」をお試しください。
皆さんも少し体を動かして熱を生み出す筋肉を増やし、温かい鍋料理などを食べて胃腸を温め、整えましょう。また、ストレスを減らし、心身ともに健やかに新年をお迎えください。
次号はネパールからお届けします。
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