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第35回  夏バテに効く、トウガラシの辛み成分!!


さて、今回は「トウガラシ」のお話しです。

トウガラシは「薬味=香辛料=スパイス」です。

スパイスは、特有の五味「甘味、酸味、苦味、塩味、辛味」や、特有の香りをもち、香りの成分には抗菌性(抗微生物)を有するものが多く、食中毒の予防にも利用されています。


トウガラシには様々な機能性があります。

① 温性で、血行を促進し体表面を温め発汗する

② 温湿布に用い、皮膚表面の血流を促進する

③ 育毛を補助する

④ カプサイシンは少量で、胃での糖の吸収を促進する

⑤ 抗菌性で、特に、食中毒に関する菌に対する抗菌効果の研究がある 

これらに関連した、ちょっとためになるお話しをします。


<トウガラシの辛み成分>

辛味をもっている植物はカラダを温めるものが多く、その代表がトウガラシ(唐辛子)ですね。トウガラシの性質は「温」ですが、「体内を温め、発汗し、汗の気化熱で体を冷やす」とも言われます。

暑いときは、汗をかくことで、皮膚表面の熱が放散され、体温の上がりすぎを防ぎます。

なので、辛いモノを食べると、カプサイシン類が持つ発汗作用により、かいた汗が蒸発の際に皮膚表面の熱を奪うため“涼”を感じます。

※汗の元は血液です。汗は血液中の水分などが表皮(汗腺)から漏れたものです。

※人は汗腺があり皮膚から汗をかきますが、犬などは汗腺がなく汗をかきません。


トウガラシと言えば、ブラジル中央部の都市「パンタナール」の日本人の方に、とても辛いトウガラシの話を聞いたのを思い出します。「実が1cmぐらいの小さなトウガラシの実を食べた現地の動物は、暑い夏を生きて越すことができ、食べなかった動物は見かけなくなる」とのことで、トウガラシの果実に抗菌作用や抗ウイルス作用があるのかな?抗生物質と同じ作用があるのではと感じました。小さなトウガラシを食べなかった動物は、死ぬのかな?


韓国ではトウガラシがたくさん食べられているのはよくご存じと思います。その理由のひとつが、辛いものを摂取した際の発汗作用が、ストレス発散になると考えられているからと言われています。 実際、甘いものを食べている時よりも、辛いものを食べている時の方が、脳のストレス反応は減少傾向にあるとのこと。つまり、辛いものの摂取はストレス解消になると言えます。

ただ、韓国の人が、トウガラシを食べ過ぎて胃が弱い人が多く、そのため痩せた人が多いとの話を聞きました。刺激の強いトウガラシ等の辛い香辛料の取り過ぎは胃を傷め、夏バテしますので、注意してください。


<トウガラシの仲間>

トウガラシはナス科で、沖縄・奄美よりも北の日本の地域では一年草、熱帯などの暑い地域では多年草です。アメリカ原産で、強い辛味があります。

名前の由来は、「唐から渡来した辛子(からし)」とされるが、この唐は「中国」ではなく、「異国」を意味しています。

トウガラシ(唐辛子)には「辛」の字があるように、辛味成分の「カプサイシン類」を含み、その含量によって辛さの強さが異なります。

日本では果実収量の良い「鷹の爪」が一般的ですが、地域により「旨味成分」と「辛味成分」が異なり、たくさんの種類があります。世界では3000種以上ではと言われています。

辛くない品種には、ピーマン、パプリカ、シシトウガラシ、青トウガラシなどがあり、旨味や甘味があり美味しいです。

トウガラシと言えば「辛味」と思いがちですが、トウガラシの果肉部分には、辛味が無いことがわかっています。

トウガラシの辛味成分のカプサイシンは、果実の隔壁(しきり部分)から分泌され、隔壁と胎座(種に接する部分)に貯蔵されます。辛いのは隔壁と胎座(種がついている白いワタのような部分)で、収穫の際、果肉や種子に辛味が分散するからです。果肉には糖分が貯蔵され甘みがあります。


<かんずり>

東北の方々は、トウガラシを「雪さらし」すると、甘み、旨みが増えることを、代々伝えられてきた生活の知恵で知っています。

「雪さらし」をご存知ですか? 前年に収穫した、塩漬けされた20センチほどのトウガラシを、1月の大寒の日から雪の上にまくのが「雪さらし」です。

また、その知恵から生まれた「かんずり」をご存知ですか?

晴天の続く寒の厳しい時期、トウガラシを雪の上に3~4日ほどさらすことで、苦みやアクが抜け、甘みが増し、味がまろやかになります。また、繊維がやわらかくなり、加工しやすくなります。トウガラシを「雪にさらし」た後、水洗いして、麹、ユズ、塩と混ぜ合せ、3年以上熟成させ、新潟・上越地方伝統の調味料「かんずり(寒造里)」が造られます。鍋の薬味に、ご飯のお供に美味しですね。

「かんずり」の原料トウガラシは、「S-30」という品種です。品質の良いものを自然交配し続けた結果、通常のトウガラシ(鷹の爪)の約3倍の大きさで、肉厚。栄養分が豊富で、辛すぎず、甘すぎない品種「S-30」が生み出されました。


<トウガラシの栄養価>

トウガラシと言えば、赤くて乾燥している「鷹の爪」を思い浮かべますね。ただ、今の時季は、生のトウガラシが収穫期を迎えています。生トウガラシは色鮮やかで、みずみずしく、風味があります。栄養面では、カリウムやマグネシウムなどのミネラル類、βカロテン、ビタミンCなどが多く含まれています。


<カプサイシンを含む唐辛子の利用>

① 減塩

辛味(カプサイシンなど)は、微量で塩の代わりになり、上手に使うと料理の塩分を半分ぐらいに減らすことができます。高血圧など生活習慣病に効果があるので巧く利用してみてください。


*減塩調味料の作り方*

ホワイトリカー(150ml)に、小さじ一杯の一味トウガラシを加え、減塩調味料を作ります。料理全体が500mlぐらいなら、この調味料を小さじ一杯ほど加えると、1/2ぐらい減塩できます。


② 殺菌・防腐効果

保存している種子がネズミ等に食べられないよう、辛味(カプサイシン)で守るそうです。そういえば、トウガラシのカプサイシンで、お米を虫から守る商品が市販されていますね。


③ 繁殖戦略

鳥は辛さを感じないので、トウガラシを食べ、その種子を糞で排泄し、遠くへ運んでくれ、トウガラシの繁殖を助けてくれます。トウガラシは鳥に見つけてもらい易いよう、熟すると赤くなります。トウガラシなどの植物の「繁殖戦略」です。



左:トウガラシ(鷹の爪)の花  右:トウガラシ(鷹の爪)の緑の果実

(2023年8月22日撮影)


ネパールのトウガラシのカーテン(2009年8月撮影)

カトマンズ盆地、ラリティプール郡 ゴダワリ村の家


左:ネパールの黒いトウガラシ。トウガラシ類は全て、熟すと全体が赤くなります。

右:バンコクの市場のトウガラシの山。緑色のトウガラシもあり、グリーンカレー等に利用されます。


トウガラシ(鷹の爪)家の玄関に飾っています。(2022年9月28日撮影)


園芸用の黒実のトウガラシ(2019年7月27日撮影)

山口県での花博で撮影。赤い果実は熟したものです。果実は辛く、食用にもできます。


阿蘇の「高森田楽保存会」に、久しぶりに行って来ました。囲炉裏がある古民家風の店です。熊本の郷土料理の「だご汁」に一味唐辛子を! “だご”とは熊本弁で“団子”のことです。(2023年8月26日撮影)




ドクトルしょうちゃんの
ワンポイント蘊蓄


最後に「胃を傷め、弱らせると夏バテしますよー!!」

トウガラシを使った料理や調味料による適度な辛さは食欲を増進させ、おいしく食事をする助けになります。トウガラシ、サンショウ(花椒)など、辛いものを巧く利用し、夏バテしないようにしてください。


ただ、トウガラシの辛み成分カプサイシンは摂り過ぎると、粘膜を傷つけ、のどや胃を傷めます。

以前、「韓国の人が痩せているのは何故か?」と、韓国の衛生研究所の方に聞いたところ「トウガラシの食べ過ぎで、胃が悪い人が多いからですね」とのこと。 また、「カプサイシンに関する研究発表(1998年)」をされた京都大学農学部の教授からも「辛いトウガラシで痩せるというのは、余りにも飛躍しすぎ」との返事でした。


痩せるといえば、最近『辛くないトウガラシの品種「CH-19甘」よりも、カプサイシンのアミド基がエステル基に変わった、辛味のほとんどない「カプシエント類」のほうが脂肪燃焼をサポートするのでは』とも言われています。


夏バテ解消には胃を弱らせないことが肝要です。トウガラシの辛み成分は食欲を増進させますが、辛い物の摂り過ぎはほどほどに。胃を弱らせないよう注意して、この夏を乗り切りましょう!!


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