寒冷前線が南下し急に冷え込んできましたが、また暑くなったり、急に
寒くなったりで、気温差に対して心身のバランスの調整が必要なこの頃です。皆さま、お変わりありませんでしょうか?
さて、今回はトマト(ナス科)のお話しです。
トマトの国内生産一位は熊本県で15%ぐらいです。この夏は猛暑が続き、雨が少なかったので、生産量が落ち、まだまだ価格が高騰しています。
トマトは一年中生産できる優良野菜の一つですが、生産に必要な資材が高騰、物価も上がっており、時給1000円時代でもあるので、米と同様、値上がりするかもしれませんね!?
➊赤いミニトマト
➋黄色いミニトマト
➌原種に近いミニミニトマト
➍原種に近いミニミニトマトの花
❺ミニトマトの花
➏トマトの花
➐ネパールのトマトの販売
皮は少し硬く、不揃いですが、美味しいです。
➑ネパールの野菜屋さん
山積みのトロ箱の中から、欲しい物を選びます。量り売りです。
トマトは、ナスやジャガイモ、タバコと同じナス科の植物です。「有毒植物」の仲間が多いナス科ですが、品種改良などで、世界中で食べられるようになりました。
トマトの原産地は南米アンデス地方。日本では200種類以上生産されています。世界では1万種もあると言われ、果実が食用で利用されている、世界でも優良の野菜です。
日本へは江戸時代に観賞用で渡来し「唐なすび、唐柿」などと言われていました。
食用には、明治に入ってから利用されるようになったようです。
トマトはハウス栽培が多くなり、現在は一年中出回っていますが、路地栽培で無農薬有機農法のトマトは旨いです。
「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言う西洋の諺がありますね。
この諺によれば、トマトをよく食べていれば医者は全く不要になってしまうかもしれませんね。ただ現状は、医者は大繁盛の状態です。何故かな???
それはさておき、トマトの果実の様々な機能性についてご紹介します。
●私たちは「トマトの抗腫瘍活性、毒性試験」を細胞レベルと動物で行いました。
トマトは、苦味のある「トマチン」という、有毒な「ステロイドアルカロイド配糖体」を含む有毒植物ですが、品種改良が進み、普通に生でトマトを食べて、食中毒で死んだ人は見当たりません。マウスの実験では、トマチンは腸内で分解されにくいので、強い毒性を示しませんでした。人であれば、緑色の未熟トマトを500g以上(赤色や黄色のトマトなら3kg位)は食べないと死なないということです。「ステロイドアルカロイド配糖体(トマチン等)」には抗腫瘍活性があります。消化されにくいトマチンは、大腸がんの予防に良いかもしれません。
●更に、トマトに豊富に含まれるカロテノイド色素のリコピン、ビタミンC、ポリフェノール類(フラボノイド、クロロゲン酸)には抗酸化作用があり、糖尿病、心臓病、脳疾患障害などの予防にも効果的です。
●「中薬大辞典」には、「トマトの果実は、番茄(バンカ)と言い、味:酸甘、性質:微寒、水(津液:しんえき)を生じ、止渇する。健胃し、食滞を解消する。口渇を改善、食欲不振を治す」とあります。 ※津液とは、体内に存在する血液以外の水液の総称。
また、トマトに含まれているルチン(フラボノイド)やビタミンCは、動脈硬化の予防に有効です。
● トマトの独特の香り(臭み)や味が嫌いな人もいますね。
青臭い香りの成分は、シス-3-ヘキセナール、ヘキセナール、トランス-2-ヘキセナールで、土臭い成分は、2-イソブチルチアゾールです。
苦味の成分は、トマチン等のステロイドアルカロイド配糖体です。香りが嫌なら、生ではなく、加熱すると香りの成分は減少します。生食が嫌なら添加物の少ないトマトソース、トマトケチャップなどの加工食品を上手く利用してみてください。
●トマトの旨味成分
トマトの旨みは「グルタミン酸」で、赤く熟すと増え、旨みが増します。トマトソースは旨味の塊です。イノシン酸(カツオ節など)、グアニン酸(椎茸など)、グルタミン酸(昆布、トマトなど)等、これらの旨味成分の食材を上手に利用すると旨みが増し、減塩で美味しい料理ができるかもしれませんね。
また、ニンニクをスライスし、沸騰した湯で10〜15分間加熱、臭み(香り)の成分(アリシン)を作る酵素(アリナーゼ)を失活させ、ただのタンパク質にします。このニンニク水溶液のコク美味物質「アリイン水溶液」を用いると、減塩で一層美味しい料理になります。簡単なのでお試しください。
●トマトの茎葉の殺虫効果
茎葉を煮出した水溶液は、殺虫効果があります。ただ殺虫成分(トマチン)は、水溶性なので、雨が降ると水に溶けて流れ、効果がなくなります。
一般的に、トマトは、完熟前の赤く熟れたトマトが食べられており、未熟トマト(緑のトマト)は廃棄されています。有毒と言われる苦味のあるトマチン(ステロイドアルカロイド配糖体)を沢山含み、青臭さもあり、美味しくないと感じるからです。しかし、前処理をして、ジャムにすれば食べられますよ。
先が少し白くなった緑の未熟トマトのヘタを除き、四つ割にして、水に2回ほど晒し、苦味のトマチンを少し除き、水を切り、鍋で焦げないように加熱して出来上がり!!
砂糖を入れなくても甘味はある程度あります。学生さん達は、パンなどに付けて喜んで食べていました。
➒未熟トマトの緑色のジャム
<なぜ緑を青と言うのだ日本?>
今年は「借りている畑」に、5月に苗を買い、パパイアを植えてみました。
成長がよく、未熟の緑色のパパイアが20個/本 ほど、収穫できそうです。
ところで、緑色のパパイア、英語ではGreen Papayaですが、日本語では青パパイアと呼ばれています。
それは、さておき、普通、パパイアは黄色く熟しますが、日本の路地栽培では黄色く熟れにくいです。熟したパパイアと違い、未熟な緑色の青パパイアは、料理の食材として使われます。青パパイアには、タンパク質分解酵素(アパイン)、デンプン分解酵素(アミラーゼ)、脂質分解酵素(リパーゼ)が豊富に含まれています。青パパイアの酵素を活かすなら、加熱しないサラダ等がお勧めです。
また、酵素は加熱すると、ただのタンパク質になります。上手く利用し前処理し、料理に活かしてみてはいかがでしょうか。
< 手抜き「青パパイア」料理 >
◆生料理
①皮はピーラーで剥くと簡単です。硬い場合は、包丁で。
※パパイアは蛋白分解酵素を含んでいるので、皮膚を溶かし、皮膚の弱い人はかぶれるので手袋をしてください。
②皮を剥いて、半分にカットし、中の種やワタをスプーン等で除く。
③料理しやすい大きさにカットする。
④10分ほど水に晒してアク抜きし、下処理完了。
⑤スライスや千切りにして、サラダ等に。お好みのドレッシングをかけて食べてください。
◆加熱料理
①皮を剥き、2〜3cmの厚さの輪切りにし、種やワタを除き、そのまま、又は一口大にカットする。
②フライパンで、火が通るまで焼く。蓋をして蒸し焼きにしてもいいですね。
③お好みで、例えば、チーズをトッピングしたり、田楽風に味噌を塗って出来上がり。
次回は、12月3日(火)投稿の予定です。よろしくお願いいたします。
Ⓒ2024 Yahara Shoji.All Rights Reserved
Comments