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第41回  イラクサ(刺草)


“NAMASTE(ナマステ)!!”  みなさんお元気ですか? 

私は、1/19〜2/17に、ボランティア活動の一環で、ネパールに行ってまいりました。

ネパールに到着するなり、何度も使った古い油に当り、腹痛で食事制限をせざるを得ず、お陰で体重が4kg減り、体が軽くなりました。帰国前には、ほとんど回復。無事帰国し「借りている畑」で農(脳)作業を始めています。

 

ネパールでは、カトマンズ盆地内Patan地区の「Guest House」に28日間滞在。

その間、2つの大学で、2週間と3日、講義や実習をしてきました。

10日間ほどの空き時間や、大学からの帰途に、民家と民家の間の路地を歩いていると、家屋の塀に「イラクサ(刺草)」を見つけました。

先の柔らかい部分を切った跡があったので、食べるために収穫したんだなと。イラクサの横には、やはり食用にするツルムラサキが伸びていました。

 

pic1. ネパールのイラクサ(2024年1月26日撮影)




pic2. 筑波科博植物園のイラクサ花(2022年7月27日 水野氏 撮影)



 

そんなわけで、今回は「イラクサ」を取り上げてみました。

イラクサはイラクサ科に属する多年草です。

イラクサの葉、葉柄、茎には透明な棘(刺毛:しもう)が密生しており、その先は尖っているのが下の写真(pic3.)から分かりますか?

 

Pic3. 先端を採取されたネパールのイラクサ(2024年1月26日撮影)



 

刺さると棘の先の部分の細胞が簡単に割れ、細胞内の毒成分(ヒスタミン、アセチルコリンなど)が皮膚に付着したり、皮下に入り込み、炎症(痒み)を起こし、「蕁麻疹(じんましん)」のような湿疹ができます。このことからイラクサの生薬名は「蕁麻(じんま)」と言います。

 

東北地方ではイラクサに近い仲間のミヤマイラクサの若い苗を「アイコ」と呼び、おひたしや酢味噌和えなどにして食べているそうです。とても美味しいそうですよ。煮ることで、イラクサの痒みを起こす毒成分が失われ、食べられるようになるとのことです。

 

「テタラペ」と呼ばれる糸をご存知ですか?アイヌの人々は、大型のイラクサ(エゾイラクサ)から、糸(テタラペ)を紡ぎ衣類を作っていたそうです。

 

中国では、民間で、葉を煎じて小児のひきつけの改善、生の葉をすり潰して、リウマチや毒蛇の解毒に利用すると言われています。

 

ヨーロッパでは、イラクサを「ネトル(nettle)」と言い、薬用や食用に用いています。

薬用としては、動脈硬化予防、アレルギー体質改善、貧血予防、利尿、リウマチや関節痛の改善などに利用されています。

 

ネパールではイラクサの仲間を「シスヌ(Shisunu、Sisnu)」と言い、学名はUrtica dioicaです。成分としてフラボノイド類、リグナン類を含みます。 (pic1. pic3.)

「A Handbook of Medicinal Plants of Nepal. Supplement I (T.Watanabe、S.Yaharaら著)」 P290-291参照

 

ネパールでは、イラクサを調理する際は、トングで若い芽を採り、煮て食用にします。結構美味しいです。採取する時は、刺毛に触らないようにしてください。毛の先は折れやすく、皮膚に刺さると毛が簡単に折れ、皮膚にヒスタミン、アセチルコリンなどの痒みを誘発する物質が付着します。「美味しいものには毒がある」ではないですが、野山を歩く時、調理する時など、不用意に近づかない、触らないようにしましょう。

 

私たちは、様々な有毒植物(豆類、キノコ類、ジャガイモ、里芋、サツマイモ、トマト、キューリ等々)を、前処理し、美味しく食していますが、生が美味しいからと言われ、生で食べ「嘔吐、下痢」などを起こすこともあります。

料理は科学です。先人の知恵をうまく利用し、安全に、楽しみながら、栄養(エネルギー=気)を巧く体に取り入れてください。

 

寒さもあと一息、日々暖かくなり桜の季節も、もうすぐそこです。ただ、暖かくなると花粉が、たくさん飛び、つらい症状に悩まされる方が増えますね。

フラボノイド類を多く含む緑黄色野菜をたくさん食べ(スープも一緒に)、砂糖を減らし、花粉症の予防をして下さい。※イラクサもフラボノイドが多く含まれています。

ちなみに、私は花粉のシーズンには「杭菊花茶」や「ハチャメチャ菊茶」を飲んでいます。

 

皆様の益々のご健康をお祈りいたします。

次回は、4月9日(火)投稿の予定です。よろしくお願いいたします。

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