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第43回  クワ


暑い日が続くようになりました。汗をかける身体になっていますか?

汗は体温調節をしてくれます。暑い時は汗をかき体温を下げ、寒い時は汗腺を閉めて体毛を立たせて体温を保ちます。皮膚の体温調節機能を大事にしましょう。

 

さて、今月は「クワ(桑)」です。

昔の童謡の「赤トンボ」に「夕焼け小焼けの赤トンボ〜〜山の畑の桑の実を小篭に摘んだは〜〜♪」と歌われていますが、今は桑の実を食べる人も少なくなり、この童謡も馴染みが薄くなりました。

クワは、クワ科の植物で、中国原産の落葉高木です。

野生には「マグワ」、「ヤマグワ」があり、葉の切れ込みで分類されているようです。

マグワ、ヤマクワの果実は食用に。黒く熟すと甘くて美味しいです。マルベリーという西洋クワの実は、果実がマグワより5倍ぐらい大きく、よく熟した実は甘酸っぱく美味しいです。通常5月~6月が収穫時期です。

 

pic1.マグワの花、果実、葉(2024年4月6日撮影)


pic2.マグワの熟した果実(2023年5月14日撮影)


pic3.マルベリー(西洋クワ)の果実(2024年4月14日撮影)


pic4. マルベリー(西洋クワ)の熟した果実(2023年5月14日撮影)


 

<咳に用いるクワの根皮>

マグワの根の皮を生薬で「桑白皮(そうはくひ)」といいます。

コロナ禍や咳がひどい時に用いる「五虎湯(ごこうと)」に配合されています。咳止めに「五虎湯」を用いたという方も多いかもしれませんね。

また、RSウイルス感染による発熱や酷い咳にも「五虎湯」が良いようです。

 

「五虎湯」は、麻黄、杏仁、桑白皮、石膏、甘草の五つの生薬で構成されています。

・熱があり黄色い痰を伴う咳は「五虎湯」を。

・熱がほとんど無い空咳、痰のキレの悪い咳には「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」を。

・肺の熱を冷まし潤すことで、咳や気管支炎を改善するには「麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)」を。小児にも利用できます。

「麻杏甘石湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)」に「桑白皮」を加えた処方が「五虎湯」です。「麻杏甘石湯」や「麦門冬湯」には、「桑白皮」は配合されていません。

 

「桑白皮」を含む漢方薬は、「五虎湯」の他に、「清肺湯(せいはいとう)」があります。「清肺湯」は、肺の熱を冷まし、肺や気管支の炎症を抑え、痰を除き鎮咳する効果があります。

 

<クワの各部位の薬用としての有効利用>

クワの根皮を乾燥した生薬「桑白皮」は、肺の炎症を鎮め、喘咳(ぜんそく)に。水滞、水腫を除いてくれます。民間薬では高血圧の予防等に用います。

・「若葉」は、便秘、高血圧の予防にお茶に利用されており、糖尿病予防、高血圧などに良いと言われています。

・「果実」は、疲労回復、強壮に、又、中国では乾燥した実を桑椹(そうたい)と言い、肝臓や腎臓の機能を促進する作用があります。また、アントシアン(シアニジン3−グルコシド等)等のポリフェノールによる抗酸化効果が期待されます。

 

<機能性表示食品について>

「機能性表示食品」として届け出ていたサプリメント(紅麹)を摂取した方々の健康被害のニュースが相次いでいます。

「機能性表示食品」とは、有効性や安全性の根拠に関する情報等を消費者庁に届け出をし、販売されています。機能性表示食品は、会社(事業所)の責任の元、科学的な根拠で商品の容器に機能性を表示したもので、科学的根拠は少しの報告でも可能で、臨床試験、副作用の検証も少ない食品が多いようです。

 

かたや「特定保健用食品(トクホ)」は、有効性や安全性について臨床試験が必要で、国が審査を行い、消費者庁長官が許可を与えた食品なので、販売するには時間とお金がかかります。そこで安易に販売できる「機能性表示食品」が2015年4月に設定されました。アベノミクスの規制緩和による経済成長戦略、つまり国民の健康より経済が優先されたのです。

 

「特定保健用食品(トクホ)」は、国が審査し許可しているのに対し、届け出をするだけで「機能性表示食品」と表示ができるようになり、大幅に規制が緩和されました。

 

「機能性表示食品」の効能を信じ、楽をするためにお金を使うのか?

多少面倒でも、地産地消、添加物や農薬が無い、または少ない食品(野菜、果物、魚などの農畜魚産物、加工品)を選んで食し、運動をして心身のバランスを上手く保つ。どちらが良いでしょうか?

「機能性表示食品」に頼るのではなく、例えば、玄米に近い米のご飯、大豆などの豆類を上手く料理し、野菜スープなどを食べ、足腰の筋肉を鍛えて、筋肉を急激に減らさないように。美味しく食べて、元気(普通のエネルギー状態)で、暑くなる季節を乗り切る準備をして下さい。

皆様のご健康をお祈りします。

 

次回は、6月4日(火)投稿の予定です。よろしくお願いいたします。

 

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