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第51回 サトウキビ

TAMTAM


新年明けましておめでとうございます。

本年も問題山積でのスタートですが、皆様は如何ですか?

「電気エネルギー危機」も重要な課題ですが、その前にまず、「食糧危機」に備えるべきではないでしょうか。

農業・畜産・水産従事者の高齢化、若者の農業・畜産・水産離れによる後継者不足に加え、円安や物価高からの時給500円の農業・畜産・水産の世界。食料供給を輸入に頼りっぱなしの日本、食糧危機が起きる原因は様々かつ深刻です。

すでに日本は「食糧危機」に突入していると言っても過言ではありません。

いくら防衛装備を備えても、人が生きる源の食糧をほとんど自国生産できないようでは、国民は元気(普通のエネルギー)も出てきません!!

「国産国消で良い食材を食べ、病気(疾病)以前の未病で予防し、生活を楽しめなければ国の存続は厳しいのでは!?」と、元旦から思案しつつ、今年も「借りている畑(熊本有用植物研究所 薬用植物園)」2か所で、農(脳)作業を続けます。


さて、2025年最初のブログは、イネ科の多年草「サトウキビ」です。

日本の食を救う植物のひとつになるのではないかと思っています。

サトウキビは砂糖の原料として知られています。沖縄県や鹿児島県の南西諸島は温暖な気候がサトウキビ栽培に適しており生産が盛んですが、九州や高知などでも昔から栽培されています。


私も「借りている畑2」で2021年からサトウキビを栽培しており、昨年は、12/11に収穫し、福岡県朝倉の「サトウキビの搾汁&黄金キビ糖の作業所」で、サトウキビの「BRIX:60の濃縮シロップ」を作っていただきました。

一昨年2023年は、12/2の雪が舞う寒い日で、「BRIX:20」の絞り汁が搾れましたが、昨年2024年は暑過ぎてサトウキビの糖度が上がらず、10日ほど遅い12/12に絞っていただき「BRIX:18」の絞り汁でした。


➊サトウキビ収穫前(2024年12月9日撮影)

2箇所で50本くらい収穫。2人で3時間ぐらいかかりました。


➋収穫したサトウキビ(2024年12月10日撮影)

車に乗せ朝倉へ搾汁に行きます。片道95km、車で2時間弱です。


➌サトウキビ搾汁中(2024年12月11日撮影)


➍サトウキビ搾汁機(2024年12月11日撮影)

1度絞り、硬いサトウキビを簡単に搾汁します

BRIX:18で、18Lありました。糖度が少し低く、量は昨年と同じぐらいでした。



サトウキビのラテン名はSaccharum officinarum(サッカルム・オフィシナルム)。Saccharum:糖、officinarum:薬用で、「薬用の砂糖」という意味です。

エネルギーの元の砂糖を含むので、昔は薬用で利用されていましたが、現在は黒糖としてほぼ利用されています。

黒砂糖は、サトウキビの搾汁液から不溶物を取り除いた液を煮詰めて作られます。黒砂糖を作るには、サトウキビの搾汁液を中性〜弱アルカリ性にする必要があります。

サトウキビはショ糖(砂糖)を蓄積します。搾汁液は弱酸性で、ショ糖を分解する酵素「インベルターゼ」を含み、「インベルターゼ」は酸性で働くので、搾汁に消石灰(水酸化カルシウム)を加え中性〜弱アルカリ性にして酵素の働きを止め、加熱濃縮します。加熱により糖と酵素のタンパク質でメイラード反応が進み、黒褐色が増し黒砂糖になります。


黒砂糖は、ショ糖以外のサトウキビの成分が残っているため、白砂糖にはほとんど無いミネラルを多く含みます。

私が搾汁と濃縮をお願いしている作業所では、消石灰は使用せず、搾汁後、素早く加熱し、ショ糖を分解する酵素「インベルターゼ」を失活させ、BRIX:60位まで、灰茶色のアクを細かく除きながら濃縮し、黄金色に輝く「黄金のキビ糖」を作ります。「黄金のキビ糖」は黒糖よりも旨味や舌触りが良く、カリウムを多く含みナトリウムの排泄を助けるので、高血圧の予防や、疲労軽減、咳止め、便秘解消、喉の渇きなどの改善にも効果があります。

※黒糖と黒砂糖は、消費者庁の解釈通知により同義とされています。


白砂糖は、主にビート(テンサイ、砂糖大根)、サトウキビ等より、純化したショ糖(砂糖)を結晶させて作られます。日本は70%ぐらいを粗糖で輸入し、国内で純粋な砂糖に生成して販売しています。

糖尿病や肥満の原因となる純粋な砂糖や甘い単糖(グルコース、果糖、転化糖)の摂り過ぎには注意が必要です。


❺サトウキビ搾汁液 濃縮中(2024年12月11日撮影)

灰茶色の灰汁を丁寧に除くと、美味しくなります。


➏BRIX:60のシロップ(2024年12月11日撮影)

➐BRIX:60のサトウキビシロップ 約4L (2024年12月11日撮影)

手前のビニールに入った飴状のモノは、頂いた結晶しなかった「黄金キビ糖」

何故、結晶しないのかな? ショ糖(砂糖)などの糖の比率を分析してもらい、原因を解明します。


➑黄金キビ糖(2023年12月1日撮影)

黒褐色ではなく、綺麗な黄金色の結晶です。黒糖よりも旨味と舌触りが良いです。


➒黄金キビ糖で煮た川魚の煮付け(2024年12月16日撮影)

12/11(サトウキビを搾汁した日)に頂きました。旨い!!


❿市販の種子島産黒砂糖(2022年12月31日撮影)

消石灰を用い酵素の働きを抑え加熱して作られます。



サトウキビの植物全体では、搾りかすの「バカス」は、燃料(バイオエタノール)やパルプ紙に使用され、また植物繊維や糖分があり、抗酸化作用があるポリフェノールを含むので、家畜(動物園のゾウさんも大好き)の餌にすると糞尿の匂いの減少、堆肥として土壌改良など二次利用されています。さらにサトウキビの葉は染色などにも使用されています。


というわけで、サトウキビは日本の食を救う食物と言えるのではないかと考えています。

その他にも、米(玄米)と大豆に加え、サツマイモも日本の食を救う植物になるかもしれません。「国産国消」ができる農業が復活しますように。

また、世界でいちばん海藻を活用している日本だから海藻を資源として利用するのもいいですね。この30年で海藻の食品としての消費量が半減しています。海藻には消化されにくい水溶性の「植物繊維」が多く含まれます。便秘解消に、毎日海藻を多めに食べては如何でしょうか。

熊本の宇土市に海藻の会社があり「地産地消」で頑張っています。

「国産国消」の可能性、まだまだありますね。


では、今年もどうぞ宜しくお願いします。

次回は、2月4日(火)投稿の予定です。


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